2020年10月18日日曜日

秋葉原 モチヅキカレー

秋葉原モチヅキカレー。末広町の喫茶店「すえひろ」の跡地に7月にオープンしたカレー屋である。外観がどことなく似ているのは、以前の店舗の良さを受け継いでいるからとのことだ。このカレー屋は気になっていた。というのも、店頭のメニュー紹介にポークビンダルーの文字があったからだ。ポークビンダルーとはインド・ゴア地方の名物料理で、かつてポルトガル領だったころに伝わったカルネ・デ・ヴィーニャ・ダリョスという豚肉料理が、インドに根付いて発展を遂げたものである。豚肉をビネガーに漬け込むことにより生まれる酸味と、香辛料の辛さが特徴のカレーである。見た目は普通のカレー屋という感じなのだが、ポークビンダルーの文字を見てしまっては、ここが只のカレー屋でないことは明らかである。こだわりを持ってカレーを作っているモチヅキカレーに足を運んだ。

ポークビンダルーを注文。入り口の券売機で食券を買い店主に渡す。席に座ってしばらく待つとカレーが出来上がるのだが、カウンターに受け取りにいくと、傍にインドのピクルス・アチャールが数種類置かれている。お好みでカレーに乗せることができる。このアチャールはらっきょうのように口直しに食べるのではなく、カレーと混ぜて食べるのがおすすめとのことだ。食べ進む途中で混ぜてみると、味に変化が出て面白いだろう。

その味は、ビネガーの爽やかさと豚肉の旨味を感じる素晴らしいカレーである。インドを感じるカレーライスである。カレー屋の多い秋葉原においても、新しいベストチョイスのひとつなのは間違いないだろう。しかし思うのは、このカレーは決して辛くはないのである。丁寧に仕込まれたカレーにアチャールと辛くないカレー、こだわりの理由があるのだろうか? 店主に話を伺った。

このポークビンダルーは店主お気に入りのカレーで、これこそがメニューに不可欠なモチヅキカレーのイチオシとのことだ。ただし酸味のある味は癖があるので、人によって好き嫌いが分かれるとのこと。ポークビンダルーをひたすら食べる人もいるし、逆に全く駄目という人もいる、それだけ個性的な魅力のあるカレーなのである。一般的に想像するインドカレーな味を所望の方には、メニューのトップにあるチキンカレーがおすすめとのことだ。

アチャールはその時々によっていろいろなものを作っているので、新しいものが加わることがある。またそのアチャールを使って新しいカレーが生まれることもある。例えばレモンのアチャールを使った期間限定のレモンチキンカレーというカレーも生まれている。

辛さに関してはカレーの重要な要素であり、美味しい辛口カレーは世界にたくさん存在している。名店の辛口カレーはとても美味しいものである。しかし辛さはまず最も目立つ味であり、カレーを印象づけてしまう味でもあるので、そうでない部分で個性を出せる味を作りたかったとのこと。辛さが苦手な方にも安心して食べてもらえる味ということである。もちろん辛党の方は居るので、テーブルの辛味スパイスを使っていただくか、ポークビンダルーにはHotオイルを使ったメニューも用意しているとのことだ。

個性とこだわりが詰まったカレーは、ぜひ一度足を運んでいただきたい、価値ある美味しさである。
店舗ホームページ


期間限定レモンチキンカレー