
秋葉原モチヅキカレー。末広町の喫茶店「すえひろ」の跡地に7月にオープンしたカレー屋である。外観がどことなく似ているのは、以前の店舗の良さを受け継いでいるからとのことだ。このカレー屋は気になっていた。というのも、店頭のメニュー紹介にポークビンダルーの文字があったからだ。ポークビンダルーとはインド・ゴア地方の名物料理で、かつてポルトガル領だったころに伝わったカルネ・デ・ヴィーニャ・ダリョスという豚肉料理が、インドに根付いて発展を遂げたものである。豚肉をビネガーに漬け込むことにより生まれる酸味と、香辛料の辛さが特徴のカレーである。見た目は普通のカレー屋という感じなのだが、ポークビンダルーの文字を見てしまっては、ここが只のカレー屋でないことは明らかである。こだわりを持ってカレーを作っているモチヅキカレーに足を運んだ。ポークビンダルーを注文。入り口の券売機で食券を買い店主に渡す。席に座ってしばらく待つとカレーが出来上がるのだが、カウンターに受け取りにいくと、傍にインドのピクルス・アチャールが数種類置かれている。お好みでカレーに乗せることができる。このアチャールはらっきょうのように口直しに食べるのではなく、カレーと混ぜて食べるのがおすすめとのことだ。食べ進む途中で混ぜてみると、味に変化が出て面白いだろう。その味は、ビネガーの爽やかさと豚肉の旨味を感じる素晴らしいカレーである。インドを感じるカレーライスである。カレー屋の多い秋葉原においても、新しいベストチョイスのひとつなのは間違いないだろう。しかし思うのは、このカレーは決して辛くはないのである。丁寧に仕込まれたカレーにアチャールと辛くないカレー、こだわりの理由があるのだろうか?...